子どもの引渡し

子どもの奪い合い

 離婚の際、父母の間で子どもの奪い合いが生じることがあります。
例えば、婚姻中に一方の親が子どもを連れて別居してしまった場合、離婚後親権者(兼監護者)となった親の元から親権を持たない親が子どもを連れ去ってしまった場合などが考えられます。

 

離婚成立前~調停・審判・審判前の保全処分

 まず、上記の例で別居中の場合ですが、まだ離婚していないので親権は父母が共同行使している状態です。
子どもの引渡について、話し合いで解決するのが一番ですが、協議が整わない場合は、家庭裁判所に子の引渡を求める調停・審判を申し立てることが実務上認められています。

 調停でも合意ができない場合には、審判に移行し、引渡の可否は、どちらが子の監護者として適格か、引渡を認めることが子どもの福祉に適うかという観点から判断されます。

 夫婦で養育していた当時のそれぞれの子への関与や、父母の監護能力・家庭環境、・住環境、子どもの年齢・発育状況・兄弟姉妹との関係・生活環境への適応状況等が考慮される事情の例です。

 しかし、調停や審判で結論が出るにはある程度時間がかかります。それを待っていては子の福祉が害されるような危険性がある場合など緊急性の高い事案に対処する制度として審判前の保全処分などの制度があります。

 

離婚成立前~人身保護請求

 また、緊急性を要する場合、人身保護請求の制度があります。
人身保護法とは不当に奪われた人身の自由を回復することを目的に制定された法律です。
 基本的人権を保障する日本国憲法の精神に従い、不当に奪われている人身の自由を、司法裁判により、迅速、かつ、容易に回復せしめることが人身保護手続の目的です。

 目的が人身の自由に対する拘束一般からの自由の回復ですので、手続の迅速性に着眼し、制度が想定していた事案と様相の異なる子どもの引渡請求に人身保護法が利用されてきたものです。

 人身保護法の手続は迅速を旨としています。
請求を行った場合、1週間以内を目処に審問が開かれます。
判決の言い渡しも審問終結の日から短期間内におこなわれます。

 しかし、どのような場合でも請求が認められるものではありません。
人身保護請求の要件のひとつとして拘束の違法性が顕著であることが必要とされています。
 共同親権の場合、この要件の認定はなかなか厳しいようです。

最高裁判所は、別居中の夫婦間での子どもの引渡を求める請求について、拘束の顕著な違法性がありというためには、(一方の親による監護は親権に基づくものとして特段の事情がない限り適法なので)「拘束者が右幼児を監護することが子の幸福に反することが明白であることを要する」ものと判示しています。

 なお、子供が自由に形成された自分の意思で相手方のもとに行ったと認められる場合には、子供の引渡請求は認められません。



離婚後~調停・審判・審判前の保全処分・人身保護請求

 離婚後は、父母の一方が単独で親権者となります。
そこで、親権者(兼監護者)の元から親権を持たない親が子どもを連れ去ってしまった例では、親権者たる親は原則として親権に基づき子どもの引渡をもとめることができます。
 家庭裁判所に対して子の引渡を求める調停・審判の申立が可能です。
緊急性を要する場合は、審判前の保全処分、人身保護法に基づく請求をすることが考えられます。




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